過去検証を100回やろうが1000回やろうが、あまり意味はないという話

トレードそのものについて思うこと
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今回は、過去検証の回数に係る話です。

「過去検証は回数が多ければ多いほどいい」という言説をよく見かけます。

しかし「ある市場をもとに、かつ実際の過去データをもとに検証を行う」のであれば、この理屈はおおよそ間違った理屈です。筆者の私見

今回はその考え方について解説します。

例:

Aさんは、「ゴールデンクロス手法」を検証しようとして、以下設定の下検証を行った。

  • ドル円過去チャートを用いる
  • 20SMAと40SMAがゴールデンクロスした時点をエントリータイミングとする
  • 買いでエントリーし、デッドクロスしたらクローズとする
  • クローズ時点で利益があれば勝ち、損失があれば負けとしてカウントする

まずAさんは計10回分の過去検証を行った。(2021/12上旬~2021/12末)勝率は60%だった。

その後Aさんはより正確を期すためには回数を増やすべきと考え、計100回分の過去検証を行った。(2021/3-2021/12)勝率は55%だった。

Aさんはこの手法に確信を得たいと考え、さらに回数を増やして計1000回分の過去検証を行った。(2014/1-2021/12)勝率は70%だった。

1000回検証して70%の勝率があるなら十分と考え、Aさんはこの手法を実運用で用いることにした。

しかし、実際にトレード(2022/1-2022/6)したところ勝率は45%で、獲得pipsもマイナスとなってしまったため、Aさんはこの手法の運用をやめることにした。

上記のようなケースがあったとしましょう。上記はあくまで例(回数も期間も仮)ですが、こんなケースがあったとしたら、Aさんは何を間違っていたか、あなたは分かりますか?

過去検証の回数を増やすほど、過去データの影響が増える

Aさんの間違いは、過去にどんどん遡り検証を行ってしまったことです。

上記例では、1000回トレードを過去検証するため、2014年からのデータを使っています。

値動きは過去になればなるほど、今とは違うパターンで動くと考えるのが普通です。

検証の回数が増えるほど、過去のパターンが過去検証の成績に影響を与えてしまい、結果として上記例のように「1000回繰り返した過去検証の成績と、現在の成績が食い違う」ケースが発生します。

過去の勝率にこだわりすぎる意味はない

「過去データを大量に入れてしまい、ノイズ込みの過去検証を作ってしまった」という具体的な間違いもさることながら、上記例はそもそも「過去の勝率」を重視しておりこうした勘違いも非常に問題です。

我々が行っている「過去検証」の本質とはつまり、「繰り返されるパターンらしきものを数値で検証すること」です。

「サイコロ投げですらサンプル数が少ないと出目の確率に偏りがある。何千回も投げないと、各出目の確率=1/6に近づいて行かない」という確率論をもとに、「過去検証を100回も1000回もやるべき」という言説がありますが、論理の飛躍等等、どこから突っ込んでいいのか分からないほどに頓珍漢な言説です。

具体的な確率を知ったところで、将来のチャートでそれが再現されるわけではありませんし、そもそもパターンを正確な確率で把握しようというのもおかしな話なのです。

こういう言説をされている方は、一度統計を学ばれた上で改めて過去検証が何を目的としているかを考えた方がいいと思います。

過去検証は、どのように/何回やるべきか

ここで筆者の私見として、過去検証はどのように/何回やるべきかについて述べようと思います。

過去検証の手順としては、以下のように進めるべきです。

  • その後価格が一方向に動きそうなシグナルポイント候補を見つける(例:三尊、ダウ理論、ゴールデンクロス…)
  • シグナルポイント候補から一定期間(例:1日)における価格の推移データ集と、同期間における平均的な価格の推移データ集を比較する
  • 統計的手法により、「シグナルポイント候補以降の価格推移」が平均的な価格の推移より有意に一方向に偏ったものであると言えるかを検証する

そして、過去検証の回数は、t検定を用いる場合、自由度=サンプル数=30回以上集めれば十分であると言えます。

t検定の詳細については、統計WEB様の解説記事に詳しく記載されています。

また、t分布について、以下過去記事で調べ、自由度=30以上となれば分布が標準正規分布に近づくことを紹介しています。

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