今回はボリンジャーバンド順張りの使い方の一つである「バンドウォーク戦略」について紹介します。
この戦略は、以下の方におすすめです。
「バンドウォーク戦略のコンセプト」、「バンドウォーク戦略詳細」の順に沿って紹介しますので、具体的なところから見たい方は「バンドウォーク戦略詳細」からご覧下さい。
※なお、使用に当たっては必ず各自のトレード環境で事前検証頂きますようお願い致します。
バンドウォーク戦略のコンセプト

バンドウォークとは
バンドウォークの定義を以下の通り確認します。
- ローソク足が、ボリンジャーバンドのバンド(基準SMA+/-σ値)上に偏る
- バンドの拡大に沿って価格が一方向に進む

上図中赤丸で図示したような箇所のことですね。(図はTrading View由来/ドル円日足、2σ)
1σバンドウォークで狙う利益
本戦略の重要なコンセプトである、狙う利益(≒勝てる理由)について確認します。
まず、ボリンジャーバンドで示される基準SMA+/-標準偏差の値を超えているということは、平常時のばらつきを超えて価格が推移している(=異常時)であると考えます*。
加えてバンドウォークの状態は、形状から明らかなように価格に強い自己相関が生じている(価格が上がっているから上がる、下がっているから下がる)状態です。
トレンドとはまさに、平常時以外の短期的な一方向への価格の動きですから、バンドウォークに沿って順張りし、この短期間の値上がり(値下がり)で得られる利益を狙っていくというわけです。
*ボリンジャーバンドと標準偏差の意味について以下。
バンドウォーク戦略の深堀
「バンドウォークに沿って、価格の一方向への急伸を取りに行く」というコンセプトから、考えられる問題点を仮定し、戦略を深堀します。
- どこでエントリーするか決まらない(バンドを抜けたところ?バンドウォーク継続中?)
- バンドを抜け続ける限り、エントリーし続ける(ピラミッティング)
- エントリー回数が増える分、ロット数は低く抑えることになる
- 1.でロット数が増える分、損失が拡大する可能性が高まる
- ホールド中のポジションの損失を抑えるため、ストップロスを引き上げる(トレーリングストップ)
- 価格が短期間で一方向に進み続けるバンドウォークとトレーリングストップは整合的
*ピラミッティングとトレーリングストップについて以下。
バンドウォーク戦略詳細
以下は、具体的なバンドウォーク戦略になります。
時間足、エントリー条件、ロット

時間足については、1分足又は5分足を使います。
本戦略ではトレーリングストップによって損失幅こそ制限されますが、毎ローソク足でピラミッティングするためポジション量が増えてしまいます。リスクにさらされるポジション量自体が増えてしまうため、出来るだけ損失額を抑えるために値幅の小さい短時間足で運用するべきです。
エントリー条件については、1σバンドを終値が超えている+基準SMAがトレンドに沿った向きであると定義します。
この条件を満たし続ける限り、終値確定の都度エントリー(ピラミッティング)します。
1回あたり取引量については、取引最小ロット(0.1枚等)をお勧めします。
最大数十回ピラミッティングを行うパターンを想定すると、一度の枚数は最小に抑えるべきです。
利確、損切条件

利確条件については、本戦略のコンセプトに則して明確に定義することが困難です。(バンドウォークが続く限り、利益は伸び続けると考える=途中で手仕舞い出来ない)
そのため、ポジションごとにリスクリワード達成の都度手仕舞う、またはプライスアクション(宵の明星、明けの明星)等反転サインを見てクローズすることをお勧めします。
損切条件については、基準SMAとするべきです。
1σバンド自体はバンドウォーク中でも割りやすいラインであるため、一段引いた基準SMAをストップロスとします。
バンドウォークが続く限り、SMAもトレンド方向に沿って伸びるため、全ポジションのストップロスを最新時点の基準SMAに洗い替えていけば、自然とトレーリングストップが出来ます。
バンドウォーク戦略実例、メリットデメリット
以下では、実際のチャートに照らしたバンドウォーク戦略実例(成功例、失敗例)及びメリットデメリットを整理します。
戦略実例

上図の通り、「成功例」(=ポジション全体の利益が損失を上回る)と「失敗例」(=ポジション全体の損失が利益を上回る)ものに分けて図示しています。
バンドウォークの傾向が強く出る+継続するほど利益は増大、損失は限定されることが分かります。
メリットデメリット

本戦略のメリットについてですが、1日に決まった時間ポジションを持つだけの「短時間勝負」となることが挙げられます。
東京、ロンドン、ニューヨーク市場の移り変わり、要人発言等による急変影響を受けにくいです。
また、一分足では30分程度でエントリー~クローズまで簡潔するため、兼業トレーダーが夜間取り組むにも都合が良いでしょう。
またバンドウォーク初動がダマシに終わる場合の損失を最小化できる点もメリットです。
例えば1分足初動で0.1枚を持ったとして、1分足の1標準偏差はせいぜい数pipsです。
そのため損失は、0.1枚 x 数pipsに抑えられます。

一方で、戦略上のデメリットはやはり利確条件を明確に定めようがない点でしょう。
上図失敗例のように、急な価格の反落が発生すると含み益であったポジションがほぼ全損します。
これを避けるためには、エントリーごとのリスクリワードを別に定める等対策が必要です。
なお、バンドウォーク中終値以外はちょこちょこ1σ内に回帰することもあるため、1σにストップロスを置くことはお勧めできません。
また、本戦略は短時間足で行い、かつ頻繁にエントリーを繰り返すものであるため、思った以上に手数料(スプレッド)の影響を受けやすいこともデメリットです。
平均して1エントリーあたり1pipsしか獲得できないのに、スプレッドで1pips取られるとすれば絶対にトータルで勝てません。
本戦略はスプレッドの低い銘柄、時間帯で運用されるべきです。
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