バイオマス燃料の課題(食糧競合等)について

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今回は、再生可能エネルギーのうちバイオマス燃料の課題について整理します。

バイオマス燃料の課題

バイオマス燃料は、再生可能なエネルギー源として注目されています。しかし、バイオマス燃料の生産には、食糧競合や原料競合という問題があります。

これらの問題はバイオマス燃料の原料が食糧そのものであったり、その他の用途に使われる原料と競合することで発生します。

具体的には食糧競合と、原料競合という観点で切り分けてみてみましょう。

食糧競合は、食用作物としてのバイオマス資源をバイオマス燃料として使用することで発生します。例えば、トウモロコシやサトウキビはエタノールの生産に使用されますが、これらの作物は食糧としても広く利用されています。

そのため、バイオマス燃料としてのエタノール需要が増加することで、結果燃料用途でエタノール原料としてトウモロコシやサトウキビの需要が増えると、食糧価格が上昇する可能性があります。これは飢餓に苦しむ人々にとって、深刻な問題となります。

一方、原料競合は、バイオマス燃料の生産に必要なバイオマス資源がその他の用途で使用されることで発生します。例えば木材は、細かく破砕してチップ、ペレット化することでバイオマス燃料になるのですが、本来燃やすというよりは製紙、建材や家具の製造用途で使用されるものです。そのため、木材がバイオマス燃料の原料として使用されることで、建材や家具の製造に必要な原料が不足する可能性があります。

現在、世界で流通しているバイオマス燃料には、食糧競合や原料競合の問題が存在するものがあります。たとえば、トウモロコシエタノールは、アメリカ合衆国で広く使用されていますが、トウモロコシの需要が食糧生産とエタノール生産の両方で高まるため、食糧価格が上昇する可能性があります。

また木材は全世界的に紙、建材原料と競合しています。食料よりはひっ迫した場合の影響が小さいと考えられるものの、一方で原料マーケットが高騰し、結果一般消費者に高値が転嫁されるなど望ましくない結果を引き起こすことがあります。

また、食糧、原料競合バイオマス燃料として使用されるパーム油、パームヤシ殻(PKS)は、熱帯雨林の破壊を招くことが懸念されています。これは、バイオマス燃料の生産による環境破壊の問題でもあります。

課題への対策

食料競合、原料競合に関して、①そもそもそうした問題の無いバイオマス燃料を新たに開発する、②燃料の追跡可能性を高めるといった対策が取られています。

農業残渣や藻類

食糧競合や原料競合の問題がない新たなバイオマス燃料として、以下のようなものが挙げられます。

  1. 農業残渣  農業残渣は、農業作物の収穫後に残される部分のことで、例えば稲わらやトウモロコシの茎などが含まれます。これらの残渣は、通常は農地に戻されるか、廃棄されることが多いですが、これをバイオマス燃料として利用することで、食糧競合や原料競合の問題を回避することができます。
  2. 藻類 藻類は、水中で栽培されることが多く、農業資源と競合することが少ないため、食糧競合や原料競合の問題が発生しないバイオマス燃料として注目されています。また藻類は、太陽光を利用して成長するため、再生可能なエネルギー源として期待されています。

そもそも食料でもないし、現状捨てられるか無いものと思われていたものを活用することで、競合性の無い新たなバイオマス燃料を生み出せるのです。

認証制度

燃料の由来が競合性、環境の観点から見て問題あるものでないか確認するため、追跡可能性を担保する仕組みとして認証制度が存在します。

木材に関して言えば、FSCやPEFCといった認証団体による認証制度が存在します。原料について、基準を満たす生産地点にて生産されていること、しかるべき確認手段をもってその後の取扱業者が基準を満たす材を取り扱っていることを監査、認証するものです。

しかし、こうした認証制度の問題点は、バイオマス燃料のもととなる原料が多岐に渡る、という点にあります。

監査というものは本来生産者等と同等以上の知識、専門性を持ってなされるものです。木材であれば木材の業界に精通した監査機関でないと認証が出来ないと考えるのが当然でしょう。

バイオマス燃料の由来となる原料の種類が増えるほど、有効と認められる認証制度も増え、対応の難易度も増していきます。

これら乱立する認証制度を統括する機能、または認証制度に変わる新しい仕組みの導入が将来求められるでしょう。

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