あなたは、ボリンジャーバンドの計算プロセスをきちんと自分で確認してみたことはありますか?
ボリンジャーバンドは、「移動平均線の期間選択」⇒「期間中平均値計算」⇒「標準偏差の数値選択」⇒「期間中の標準偏差計算」というプロセスを通じて描画されています。
仕組みは理解しつつも、ボリンジャーバンド自体チャートツール上で簡単に一目瞭然で描画可能であるが故に、実際に自分でバンドの値を計算してみたことがある方はあまり多くないのではないでしょうか。
しかし、インジケーターの計算式を自らなぞって見ることで、その意味に気づかされることも多いものです。
今回はボリンジャーバンドの計算プロセスについて、実例をもとに簡単に見ていきましょう。
分散、標準偏差について
ボリンジャーバンドの計算式に移る前に、計算式に含まれる標準偏差及びその自乗の分散(⇔分散とその正の平方根(√)である標準偏差)について確認していきましょう。
分散と標準偏差が示すもの
分散も標準偏差も「平均値ベースでデータがその周辺にどの程度バラついているか」を表しています。
同じものを表しているのに、何故分散、標準偏差と別れているかというと、「計算上、元データの2乗となる分散は、元データと単位が合わず足し引き出来ないから」=「分散の平方根である標準偏差であれば元データと単位が合い、足し引き出来るから」、という理由があります。この辺りは実際の計算例で確認しましょう。
分散と標準偏差の計算式
分散の計算式は以下の通りです。
分散 = (期間1の値ー全期間平均値)^2+(期間2の値ー全期間平均値)^2+…(期間nの値-全期間平均値)^2 ÷ 期間n
標準偏差は、上記で計算される分散の平方根(√)を計算すると求められます。
標準偏差 = √分散
ボリンジャーバンドの計算式について

さて、最新時点ドル円日足のチャートを引用してきました。(出典Trading View)
今回はこちらのデータをもとに計算実例を確認してみましょう。
標準偏差1の場合の手計算

こちらは標準的な「20期間ボリンジャーバンド」の「標準偏差1」を計算したものになります。
さかのぼって20期間の平均値を算出し、各期間終値から平均値を減算、2乗化、平方根算出の計算フローが理解出来ましたでしょうか。
なお、こちら計算しているのはドル円のため、単位は基本「円」になります。ですが、「終値ー平均の2乗」及び「分散計算」に当たっては2乗しているため単位が「円の2乗」となっています。
「円の2乗」なんて単位はないので、平方根化して標準偏差「1.0075円」を求めるわけですね。
これで、上記4/19-5/16の20営業日間においては、「平均値129.30円」と「標準偏差1.0075円」が求められました。
標準偏差2,3の場合の計算(自動計算との照合)

さて、上述の平均値及び標準偏差をもとに、1~3σ(標準偏差=σ(シグマ)の意味)の+/-の値を手計算で求めてみました。
なお、2σ、3σになったからさらに難しい計算をする、ということは一切なく、単純に1σの値x2、x3するだけです。
加えて、上図の通りインジケーターの自動計算値と手計算値を上下比較してみました。
四捨五入の関係でわずかにズレるものの、ほぼ同じ計算結果になることが確認できましたね。(当然ですが)
計算方法及び実例を上図の通り示しましたので、是非、一度自身の手でも期間をいじってみたり、標準偏差をいじってみたりして、手計算してみると良い勉強になるかと思います。
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