今回の内容は、「ボリンジャーバンドを逆張りインジケーターとして使うなら、設定期間をとにかく長くしよう」ということについてです。
以前の記事で、ボリンジャーバンド逆張り手法はそもそも理屈として適切でない旨書きました。
価格データが標準正規分布に基づくという前提で、ボリンジャーバンド2σ内に95.44%終値が収まる、といったって、実際のチャートは頻繁に終値が2σバンドを超えているじゃないか、という違和感で上記記事を書いておりました。
今回は、なぜ頻繁に終値は2σを超えてしまうのか、という方から考え、それは基本の設定期間が20になっているからで、じゃあ極端に設定期間を長くすれば今度こそデータは2σ内にほとんど収まる(=ボリンジャーバンドを逆張りに使ってもおかしくない)ということが言えるんじゃないか、ということについてまとめています。
ボリンジャーバンドの設定期間について
ボリンジャーバンドの設定期間を変えると何が起こるのか整理します。
設定期間とはすなわちボリンジャーバンドのセンターラインであるSMAのことですから、
設定期間を変更すれば当然SMAが変わります。
またボリンジャーバンドの標準偏差計算の元となるのは平均値と設定期間中の各値ですから、設定期間が変わればバンドの広さが変わります。
設定期間を長くするとどうなるか
では、設定期間を長くするとどうなるか、実際のチャートをもとに見てましょう。(チャートはTrading Viewより)



上図バンドはいずれも2σです。
図にすると分かりやすいですが、ボリンジャーバンドの設定期間を長くすることで、
- SMAの傾きがなだらかになる
- バンドは拡大し、バンドの変化は緩やかになる
- データがバンド内外どちらにあるのかはっきりする(出たら出放し)
ということが分かると思います。
設定期間が長くなるほど、設定期間に含まれる小さい上げ下げの波が相殺しあうことになるため、ボリンジャーバンドの変化も緩やかになっていきます。
一方で、平均値と各値の乖離は大きくなりバンドの幅は拡大します。
結果設定期間が長くなると、終値がバンドを超える機会は激減し、直前に明確に強い値動きがないとバンドを超えていかないことも分かります。
長期間設定のボリンジャーバンド逆張りについて
設定期間を長期間化することでバンド自体の信用性が高まり、ダマシが少なくなるのですが、これだけではバンド付近で逆張りする理屈としては弱いです。
過去記事でも触れた通り、ボリンジャーバンド2σ内にはデータが収まるというだけでバンド上で反発する事にはならないからです。
単純な2σバンド反発でなく、トレンド崩れを見る
上述の通り、ボリンジャーバンドの設定期間が長くなれば小さな波ではバンドまで届かず、ある程度強いトレンドが発生していないとバンドに到達しないと考えてみます。
であれば、ボリンジャーバンドを使った逆張りは「ボリンジャーバンド内で形成されたトレンドが崩れたところでの逆張り」と考えると良いのではないでしょうか。


上図1枚目のように、無作為にチャートを引用して、ボリンジャーバンド2σ(期間400)を引いてみました。
上図2枚目はさらにトレンドライン(大まかに)を描画したものです。
このように、期間400のボリンジャーバンド2σといえど、タッチしてすぐに反転ということはなく、トレンドは続伸し、トレンドラインを割った後はしばらくヨコヨコですが、最終的に下落しています。
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