ファンダメンタルから理論値を計算すべきでない理由

ファンダメンタルズについて思うこと
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ファンダメンタル情報に含まれる指標の中には、商品そのものの価値を計算できる指標もあります。例えば、株式における配当性向と1株当たり配当や、PER、PBRといった数値です。

これらの数値から導き出される商品価格は、明確かつ不動(会計期間ごとに)であり、投資の根拠として頼もしく思われます。

しかし、実際にはファンダメンタルにそって理論値を計算すべきではないのです。今回はその理由を説明します。

市場価格には参加者の感情・期待が含まれている

株式に限った話ではないのですが、市場参加者の感情や期待は市場の動向に大きな影響を与えます。

市場参加者の楽観的な見通しや悲観的な見方が株価や為替レートに反映されることがあります。たとえば、ある企業が将来的に成長が期待される場合株価が将来の成長を先取りして上昇することがあるということです。(一方で、企業の将来に不安がある場合は、株価が下落することがあります。)

これは、現時点公開されていない企業情報等を知っている参加者が先駆けて売買し市場価格に将来公表される情報が織り込まれる(市場効率性の議論)ということを示しているわけではありません。

実際の市場価格動向を見れば明らかですが、市場参加者はあくまで思惑で売買をするのであり、その点将来公表される情報も含めてファンダメンタル情報と実際の価格がイコールになる、という考え方は間違っているのです。

市場価格は、流動性や参加者の質によって決まる

流動性とは、市場において株式などの資産を買い手と売り手が自由に交換できる度合いを指します。

市場価格の適正さを議論する上で流動性があるかどうかは重要です。

流動性が高い場合、買と売が容易にマッチし価格がスムーズに決まります。しかし、流動性が低い場合、適正な価格で折り合わず結果価格が急激に上下問わず変動することがあります。また、流動性が低い場合、投資家が売却する際に売り手が少なくなり、買い手にとって有利な価格で取引されることがあります。このような流動性の低い状況において理論価格は市場における影響力を発揮できないのです。

また、流動性に関わらず、市場参加者の質も影響を与えます。

理論上では全ての参加者が理論株価を計算出来たり、将来価格が動くであろう蓋然性の高い方向にポジションを持つことが出来る、という前提がしばしばおかれます。

しかし実際の投資家、特に個人投資家等は理論株価を計算する専門性や企業情報収集、将来予測を行う時間等リソースを有しておらず、噂レベルの情報に流されて売買を行うことが多くあります。こうしたトレーダーはノイズトレーダーと呼ばれます。

また短期的に発生するトレンドは、ファンダメンタル情報ではなく、売買ポジションの精算(損切)を含む市場参加者の心理的な行動によって生じるものです。

このように、市場参加者の性質が噂に流されたり、トレンドをフォローする性質にある場合理論株価の影響力は限定的になるのです。(逆のケースとしては、市場参加者の多くが短期的な売買を目的としない、噂レベルの情報で売買を判断しない、という場合が考えられます。)

まとめ

上記のように、市場の実際の価格を決定するのは市場参加者であり、その決定方法においては思惑等定量的な情報で表せない要素が大きく影響します。

ファンダメンタル情報そのものは、こうした思惑にも大きな影響を与える、という意味で公開直後等特に注視すべき情報であることは間違いありません。ですが、必ずしもファンダメンタル情報から導かれる理論価格が正しい、と過信しすぎないようにするべきでしょう。

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