今回は「ダウ理論によるトレンド定義(切り上げ、切り下げ)」の弱点と対策についてです。
ダウ理論によるトレンド定義(切り上げ、切り下げ)について
ダウは上昇トレンド/下降トレンドについて、明確な定義付けをしました。これは現代にも受け継がれている基礎的な考え方です。
トレンドの定義としては、高値および安値(方向性を持った推移の中の山と谷)に注目します。連続する高値および安値が、それより前の高値・安値より上に位置する(切り上げる)限り、上昇トレンドであると考えます。その反対に、連続する高値および安値が、それより前の高値・安値より下に位置する(切り下げる)限り、下降トレンドであると考えます。
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トレード手法、という文脈で「ダウ理論」という言葉が用いられる場合、ほとんどの場合この理論(切り上げ、切り下げによる上昇、下降トレンド定義)のことを指します。

例えば、上図のようなチャート例においては、

チャート左部においては、安値、高値の切り上げが発生しており、ダウ理論では上昇トレンドと定義されます。(目立つ安値のみ青線水平レイでガイド)
チャート右部にて、この安値を割ったところから下降トレンドが始まっていることが分かります。

チャート右部では今度は安値、高値の切り下げが発生していることが分かります。このため右部は下降トレンドと定義されます。(目立つ高値のみ、赤線水平レイでガイド)
トレンドが発生している限りトレンドに対する順張りエントリーは勝率が高くなるため、ダウ理論によるトレンド定義は有用であるとされています。
ダウ理論の弱点
ダウ理論の弱点は以下の点です。
- 高値、安値の切り上げ切り下げに厳密な定義がない
- 極端に言えば、上昇(下降)トレンド中において、1本陰線(陽線)が発生しただけでもトレンド転換と考えられる(解釈ブレが大きい)
- 上記のような曖昧な定義の中で、過去チャートの高値安値を認識しようとすると恣意的になりがちである
上図のガイド水平レイは、チャート上目立つ箇所に引いたものです。
定義の無い中で引いており、消してもう一度ピッタリ同じ場所に引くことは難しいでしょう。
弱点への対策
ダウ理論の弱点は、つまり「厳密な定義がないこと」にあります。
対策としては、各種インジケーターにて
- 一定の期間
- 一定の値幅
等々の定量的基準を持って高値安値を定義することが考えられます。
高値安値描画インジケーターは多種あるものの、ここでは一番使いやすく理解しやすい「ZigZag」と、を用いて高値安値を定義し、矢印を組み合わせてトレンド認識する案を考えます。

同じチャートに、ZigZagを描画し、いくつか矢印も合わせて描画しました。
ZigZagを描画したことで、高値安値が定量的に把握できるようになりました。
その中で、ZigZagの点が更新される都度、上昇(下降)トレンドであれば最新の安値(高値)点に水平矢印を描画していきます。
そうして描画された水平矢印がブレイクされた場合、トレンド転換したと判断します。(上図中灰色円で描画)
こうすることで、現在のトレンドを定量的にブレなく把握することが可能です。
なお、ダウ理論はトレンド把握のための方法として、エントリーのトリガーは別に定義したほうが望ましいです。
インジケーターの数をやたら増やしたくない場合は、ZigZagを準用してエントリーのトリガーを考えても良いでしょう。
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