皆さんは、EMA(指数平滑移動平均線)の計算式を理解していますか?
EMAは、SMA(単純移動平均線)に比べて、トレンドをより早く察知する、とされ、同じくトレンド手法であるゴールデンクロス、デッドクロスの判断指標に用いられることもあります。
今回は、SMAの計算式との比較や簡単な計算例を見ながらEMAの計算式について説明しようと思います。
EMAの計算式
EMAの計算式は、以下の通りとなっています。
EMA1つ目(参照データの一番古い時点、ではなくEMAとして表示される中で最も古い一番目の値)の計算方法は、SMAと同じで、対象期間における終値の平均として計算します。
2つ目以降を、以下の和として計算します。
- 当日の終値 x 平滑化定数k … A
- 前日のEMA x (1ー平滑化定数k) … B
- k=2÷(n+1)、 n=期間 … C
上記式を整理すると、下の式となります。
当日のEMA = 「前日のEMA + 平滑化定数k × (当日終値-前日のEMA)」
各EMAは、毎回、前日EMAに「当日の終値(A)を2度足して(Cで”2”を掛け算している)、期間+1日で割ったもの」を足しています。
単純な割り算でなく、前回のEMAの値を引き継ぐため複雑ですが、後述SMAとの計算式との比較で理解を深めましょう。
SMAの計算式
SMAの計算式そのものは単純で、「対象期間(設定したパラメータ)分の終値の平均値」を取ったものになります。
理解のため、これを無理やり上述EMAの計算式同様の処理をしたとみると、当日のSMAは以下の和として理解されます。(実際には計算結果は違いますが、あくまでEMA理解のため以下のようにします。)
- 当日の終値 x 定数k … A’
- 前日のSMA x (1 – 定数k) … B’
- k= 1/n、 n=期間
つまり、当日SMAは「前日SMAを1期間分希釈して、そこに当日の終値÷期間nを追加した和」です。
これと当日EMAを比較すると、要は当日EMAは「当日終値をもう一個追加で足して、期間も+1して割る」という処理をしていることが分かります。
簡単な計算例(1EMA、2EMAではどうなるか?)
計算式だけでも理解が難解なため、非常に簡単な計算例で確認してみましょう。
1SMA,EMAの場合
単純明快、当日の値そのままですね。念のためこの時点SMAとEMAは同じことを示すため載せます。

2SMA,EMAの場合
2EMAについて、計算式を横に表示しております。
例えば「期間3」で表示される「2EMA」について、当日終値ー前日EMAの「1000-55」を「x2」しているからこそ、2SMAよりも値が大きくなるのが分かるかと思います。

3SMA,EMAの場合
最後に、3EMAだと以下の通りとなります。
注目頂きたいのは、参照期間が2⇒3に変わったからと言って、計算式自体は変わらないことです。
ただ、平滑化定数の分母だけが(2+1)⇒(3+1)に変わっています。
また、2期間で比較した時よりも3期間で比較した時の方が、SMAとEMAの値差が開いていることにもご注目下さい。
参照期間が長いほど足元の値上がりは軽視されやすいところ、EMAは当日終値を2回足す分、相対的により重視出来ている、ということになります。

コメント