今回は貿易における取引条件形態の種類である、FOBとCIFについて説明します。
商品市場においては基本的にFOB価格ベースではあるものの、一方でCIF価格の考え方についても理解が必要であるため価格評価のポイントにつき整理します。
FOBについて
FOBとは、Free On Boardの略です。
FOB価格とは、産地国の出荷港までのコストを表しており、輸送費および保険料を含みません。
例えばコーヒー豆を例に考えれば、
・収穫➡倉庫へ輸送
・倉庫で保管し➡出荷港へ輸送
といった製造プロセスまでが範囲に含まれます。
この場合は、収穫における重機等設備費や人件費、倉庫、出荷港に向けたトラック輸送費などコストがFOB価格を構成する要素になります。
売り手にとっての製造コストが大部分を占めるため、FOB価格は個別売り手や産地国ごとの製造コスト実力値を比較しやすいです。
CIFについて
一方、CIFは、Cost, Insurance, and Freightの略で、CIF価格はFOB価格に輸送費および保険料が含まれた価格を指します。
CIFは商品が船上に積み込まれた港から到着港までの輸送費および保険料が売り手によって負担されます。
上記FOBの例に沿って言えば、FOBのコストに加え以下のコストが加算された総額がCIF価格です。
・出荷港から需要国までの海上輸送費
・保険料、関税等費用
海上輸送費は、用船市況の変動にも影響され、また産地国~需要国の距離によっても変わってきます。つまり、不確定要素が多く、売り手自身の製造コスト競争力の特定、比較を困難にする要素です。
また関税等も時期によって変わります。同一売り手から購入する場合でも時期が違えば価格が異なってくるため、一層製造コストの特定を困難になるのです。
FOB価格、CIF価格の評価のポイント
商品市場参加者として、それぞれの価格をどう評価するかを考えるために上記のコーヒー豆の例を発展させ、以下需要国、産地国に応じたFOB価格マーケット、CIF価格マーケットがあると考えてみましょう。
- 産地国A:ベトナム
- 産地国B:コロンビア
- 需要国:日本
- マーケット①:ベトナムFOB価格
- マーケット②:コロンビアFOB価格
- マーケット③:日本CIF価格
例えば、マーケット①、②を軸にして考え、それぞれが過去と比べて価格変動しているとしましょう。
この場合、産地国のコーヒー豆生産に係る構造が変化したため値段が変化していると考えることが出来ます。
一方で、マーケット③を軸にして考え、こちらも同様に過去と比べて価格変動しているとします。
こちらは各産地国の生産構造というよりは、全世界的な供給コスト構造の変化や、または需要国である日本で許容できる調達コストの構造が変化したために価格が変化していると考えることが出来ます。
CIF価格は買い手の調達する最終価格です。買い手は安いほうから購入すると考えると、CIF価格は全世界的に最も安価な入札額から落札していき、また買い手の調達可能上限額を超えません。
これらマーケットを総合的に考えると、つまりは、
「各産地国に個別の事情を分析したい時は、各国のFOB価格マーケットを参照」
「全世界的な需給バランスを分析したい時は、需要国のCIF価格マーケットを参照」
「需要国の調達可能上限額を分析したい時は、需要国のCIF価格マーケットを参照」
すればよい、ということになります。
コメント