今回は価格チャートが一定の周期をもって繰り返されている、というサイクル仮説に基づいた分析方法について説明します。
サイクル理論について
サイクル理論は、投資家が市場の周期性を認識することを可能にする理論であり、FX市場においても広く用いられています。この理論は、市場が繰り返し同じようなパターンを示すことから生まれました。
例えば、3~5日間株価が上昇し続けた後、2~3日かけて値下がりする、などです。
以下に、サイクル理論の概要について詳しく説明します。
- 周期性の概念:サイクル理論は、市場に周期性があるという仮説に基づいています。周期性とは、同じパターンが定期的に繰り返される現象のことを指します。市場においては、価格の上昇や下降が繰り返されることがあり、それらを一定の周期性をもって分析することができます。
- サイクルの定義:サイクルは、一定の時間間隔で起こる価格の動きのことを指します。例えば、30分、1時間、1日などの時間単位で価格のサイクルを認識することができます。これらのサイクルは、その時間間隔に応じて異なる価格変動を示し、トレンドの転換点や重要なサポート・レジスタンスの水準を示唆することがあります。
- サイクルの分類:サイクルには、異なる時間単位で観測されるものがあります。一般的に、長期サイクル、中期サイクル、短期サイクルの3つに分類されます。長期サイクルは、数年から数十年にわたる価格変動を対象とし、中期サイクルは数ヶ月から数年、短期サイクルは数日から数週間の価格変動を対象とします。これらのサイクルは、より短いサイクルが長期サイクルに含まれ、長期サイクルが短期サイクルを包含するような構造を持っています。
このように、サイクルは時間単位、時間間隔によって異なるものが存在しますので、どの時間を明確に分析しようとしているか把握することがまず重要です。
サイクル分析の方法について
サイクル分析の方法としては、
- ピーク(山)からピーク、トラフ(谷)からトラフ間の期間を分析する方法
- 価格変動のループを分析する方法
があると考えられます。
ピーク・トラフ間分析について
ピークからピーク、トラフからトラフの方法は、価格の高値と安値を基準にサイクルを分析する方法です。一定期間内に、価格が最高値をつける「ピーク」または最低値をつける「トラフ」が2回現れたとき、その2つのピークまたはトラフの間隔を周期として分析します。
この際ピークとトラフを認識するには、Zigzagインジケーターを用いると良いでしょう。
以下図のように、それぞれの期間をイメージで黄色の線で図示しています。
この黄色で示した期間を目安にピークとトラフが繰り返されると考えるのです。

しかし上図だけ見ても分かるように、当然ピッタリ同じ期間でピークとトラフが繰り返されるわけではありません。
さらに応用的なアイデアとしては、こうしたピークとトラフの期間データを大量に集め(Zigzag計算式を理解し、表計算ツールを用いれば短時間で集めることが出来るでしょう)、平均値と標準偏差を測ることが考えられます。
例としてピークとピークの間は強いトレンドの時は10日続くが、短いトレンドだと半日も続かなかったという場合がありますが、たくさんのサンプル数を集め分析し結果平均して4日続き、1標準偏差が1日、という風に分析できたりします。
次にトレンドが発生した場合、この考え方に従って、トレンドは3日くらいは続くのではないか、しかしそこを過ぎれば終わるかもしれないので要注意、と考えられるわけです。
ループ分析(コレログラム)について
こちらについては、価格変動データを集め、自己相関分析することで、価格の波がどの周期で重なるかを調べるものになります。
具体的には自己相関関数を正規化したデータを元に、コレログラムを作成します。コレログラムは、時間軸と周波数軸を持つグラフであり、時間軸上のデータの相関係数を周波数軸上に表示したものです。コレログラムを作成することで、周期的な成分が明確になります。
より詳細には過去記事で書いています。
まとめ
価格のサイクル分析は一度始まったトレンドについて利確、損切のタイミングなどを見極める上で役立ちます。一方でその理屈のもっともらしさから、決めつけ、オカルト的な使われ方(ドル円は〇日ごとにサイクルしている、など)をすることも良くあります。
サイクル分析する際は、必ず時間軸を明確にしつつ自分で分析したデータを根拠に考えるようにしましょう。
コメント