【FX】将来為替レート予測に役立つ指標・役に立たない指標

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本記事では、将来為替レート予測に役立つ指標、役に立たない指標について、

  • 役に立たない指標:GDP
  • 役に立つ指標①:政策金利
  • 役に立つ指標②:資源価格と各国自給率

を例に説明します。

GDPは将来為替レート予測に向かない理由

GDPは国内総生産の略称で、一定期間内にある国内で生産された価値を指します。GDPは、その国の経済力を示す重要な指標の1つですが、為替価値予測には向かないとされています。なぜなら、GDPは事後的な結果を示す指標であり、過去の経済動向を反映するため、将来の経済予測には限界があるからです。

たとえば、日本とアメリカのGDPを比較して、為替価値予測を行うことはできません。なぜなら、GDPはその時点での経済状況を示すため、将来の為替価値予測には直接的な関係がないからです。

とはいえ、景気が良い国、悪い国はそのトレンドが数年続くから、トレンド把握には役立つのではないかという意見もあるかと思います。

問題はGDPが発表されるタイミングで、過去1年のGDPの結果が、その翌年数か月も過ぎたあたりで発表されることです。しばらくもたったところで過去の結果を報告されても、市場にとってはサプライズになりえませんし、従って因果関係のはっきりした形で為替レートが変動することはないのです。

代わりに、将来の景気動向を予測するためには、失業率、企業活動(代表的な株価指数)などの先行指標を注視するべきでしょう。

失業率が先行指標である理由

失業率は経済活動において最も直接的な影響を受ける要素の一つである労働市場の状況を表しているため、景気変動の影響を早期に反映することができます。

今後景気が悪化しそうという見通しがあれば、企業が人員削減を行い失業率が上昇します。逆に景気回復が進みそうという見通しがあれば、企業が採用を増やし、失業率が低下していきます。このように、失業率は景気の動向を先取りすることができます。

また、失業率は消費者の信頼度にも影響を与えます。失業率が上昇すると、消費者の収入が減少し、不安感が高まるため、支出を控える傾向があります。結果として景気の減速が加速されるのです。逆に、失業率が低下すると消費者の収入が増加し、支出を増やしても問題ないという安心感が醸成され、支出が増加する傾向があります。これによって、景気の回復が促進される可能性があります。

なお、失業率は金融政策にも影響を与えます。失業率が高い場合、中央銀行が金利を下げることで景気刺激策を行うことがあります。一方で、失業率が低下し、インフレ圧力が高まると、中央銀行は金利を引き上げることで景気調整を図ることがあります。ただし、これは一手先の展開であり、失業率が上がったから景気刺激策が発動し景気が良くなるという見方は適切ではないでしょう。

以上のように、失業率は経済活動の様々な側面に影響を与えるため、景気変動を予測する上で重要な先行指標となります。

二国間の政策金利差が将来為替レート予測に役立つ理由

政策金利とは、中央銀行が設定する政策金利水準のことで、金利政策を通じて経済を調整するために使用されます。政策金利は、その国の通貨の価値に直接的に影響するため、二国間の政策金利差を比較することで将来の為替価値予測に役立てることができます。

たとえば、アメリカの政策金利が日本の政策金利よりも高い場合、アメリカの通貨が相対的に高い金利をもちます。この場合、円を売ってドルを買い、ドルを銀行に預けることで金利差分儲けることが出来ます。となるとドルの需要が高まり、一方円の需要は低くなり為替レートに影響を与えるのです。2022年のドル円急騰はまさにこの政策金利差によってもたらされたものです。

一方で、将来為替レート予測においては、ストック(現時点の単純な金利差)より、フロー(過去の金利差から今の金利差がどう変化した・しそうか)的な考え方で金利差を評価する必要があります。

2022年、一時150円/USDだったドル円レートは、その後日銀の政策金利上昇政策により130円/USDまで大きく値を戻しました。単純な金利差でいえば、いまだに米金利の方が大きく、ドルを銀行に預けていれば儲かるのに、です。

市場では、過去の金利差から今どう変化したかを材料としてドル円の売買が行われます。そのため、市場でトレードをするのであれば、このようにフローの視点で金利差を評価する必要があるのです。

資源価格と自国の自給率が将来為替レート予測に役立つ理由

資源・エネルギー価格は、為替価値を左右する要因の1つです。たとえば、石油輸出国が石油価格を引き上げる場合、その国の通貨は相対的に価値が上がる可能性があります。一方で、資源やエネルギーに依存しない国は、資源価格の変動に対する影響が少なく、相対的に安定した通貨となる可能性があります。

さらに、各国の自給率も将来の為替価値予測に役立つ要因の1つです。自給率が高い国は、輸入に頼らずに生産を維持できるため、外貨需要が相対的に少なくなります。その結果、自国の通貨が相対的に価値が上がり、輸入国の通貨との為替価値も影響を受ける可能性があります。

2022年ロシア紛争により、資源価格が高騰し、特に資源を輸入に頼る日本の通貨価値が他国に比べ急落し、一方で、シェールガス等自国でエネルギー自給する手段を豊富に持つ米国が通貨価値を相対的に向上させたのはこのような背景によるものです。

まとめ

以上が、二国間通貨の将来価値を予測するためのポイントです。これらの要因を総合的に考慮し、市場動向や政治情勢、地政学的な要因なども含めて分析することで、より正確な為替価値予測を行うことができます。

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