個人投資家で長期投資を志す人にとって、最大の悩み事、それはいかに売買収益と損失の影響を減らすかです。
株に投資することを考えた場合、本質的な利益とは配当です。売買タイミングによって得られる差益差損ではありません。
しかし、実際にはある株から得られた配当が3%なのに、売買タイミングによる差損が10%だった、というケースは往々にして存在します。
この場合、積み立て投資(ドルコスト平均法)が有効になります。毎期(毎月、毎四半期、毎年等々)、一定額を積み立てることで、市況の下落・上昇の影響を緩和するということです。
上昇の影響も緩和されてしまうのですが、もともと狙っている利益は配当なわけですから、そこの心配は必要ありません。
そうなってくれば、ターゲットは配当率のみなわけですから、高配当株を狙って購入すればいいわけです。
しかし、さらに一段深く考えてみましょう。
積み立てすることでも回避できないリスクとして、企業の倒産リスクあるいは回復不可能なほどの企業価値損失リスクがあります。この場合、その企業の株は無価値、あるいはほぼ無価値なところまで価値が落ちてしまいます。
これらは企業個別のリスク(α)と考えられるものであり、業界全体を取り巻く価格変動要素とは別に整理されます。
この問題への対策として、長期投資とは言え、ストップロスとプロフィット注文を常においておくことが考えられます。
例えば、ストップロスの限界は、その企業の配当率x〇期分、というように計算したり、その企業の株の日足ボラティリティ、σの〇倍というように設定するのが良いでしょう。
配当で回収可能と考えられる以上の損失が売買差損として出てしまった以上、傷が拡大する前に撤退したほうが良いという考え方です。また通常考えられない勢いで値下がりするという場合も撤退すべきでしょう。
これはダウンサイドのリスクなので、これだけ見積もっていては不公平です。アップサイドのリスクも考えましょう。
アップサイドもダウンサイドと同様と見込み、プロフィット注文を置いておきます。こうすることで、その企業の適正価値に見合わない急騰があれば即座に利確して次に回す、ということが出来るようになります。
個人投資家が個別株へ投資する以上、分散の限界はあります。それゆえに、個別株のリスクを全て引き受けないよう、ストップロスとプロフィット注文が必要でしょう。
コメント