当月限月先物と長期金利を比較しよう(Trading View)

情報分析
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今回は、限月の近い先物市場と長期金利を比較する方法と、その意義を説明します。

先物市場の理論価格について

過去記事等でも触れましたが商品先物市場における理論価格とは、簡単に言えば、

「その時々の現物価格に期間分の保管コストと長期金利を乗じたもの」です。

このため、長期金利が高いと商品の将来の価値に対する期待も高くなります(逆も然り)。

一方、保管コストとは理論上定義される曖昧な指標であり、実際にはその時々の投資家の需給バランスによって決定されるものとされています。(=現物を欲しがる人が多ければ保管コストは正で、逆に現物を手放したい人が多ければ保管コストは負になる)

先物がコンタンゴ、バックワーデーションの両方の形を取り得るのは、すなわち保管コストの関係であると理論的には説明されます。

参考:日本取引所グループ/先物取引について

先物市場における限月

限月とは、先物契約の有効期間を示すもので、将来の特定の日付を指します。

また、限月が近づくにつれて、限月あり先物と期待価格と現物価格(または現物を持たない投資家の取引のためにある無期限先物価格)のスプレッドは収縮する傾向があります。これは、市場参加者が限月が近づくにつれ、将来の商品価格に対する期待がより一致するように調整するためです。

限月直前で先物価格が割高、現物価格が割安だとすれば、先物を売って現物を買う裁定取引で投資家は確実に利益を得られるわけですから、期限が近付くにつれ裁定取引の勢いが増し、最終的に限月時点で限月先物価格=現物価格となるわけです。

一方で、限月までの残存期間が長ければ長いほど、前述の保管コスト≒投資家の将来期待が価格に反映され、先物と現物価格が乖離しやすくなるのです。

当月限月先物価格と長期金利を絡めたヒストリカル分析

ここでようやく本題ですが、「当月限月先物価格の過去チャートを長期金利を絡めて分析すれば、投資家期待の変遷が浮き彫りになるのでは?」、という仮説を提唱したいと思います。

以下はTrading Viewで、WTIの2023年5月先物(CLK2023)と米国10年長期金利(US10Y)を比較した図です。*当月限月で本当は比較したいのですが、さすがに流動性がなく市場がクローズすることもあり、便宜上翌月市場を見ています。

先物価格と金利%は単位が違うので基準時点の対数表示としていることご了承ください。上昇/下降する割合を%で把握したく、%表示にしていますが、問題はないはずです。

さて、この表が示しているものを改めて確認しますと、

「2023年5月を限月とする先物」について、その時々でのヒストリカルな先物取引価格を示したCLK2023ラインが紫色で表記されています。また、時期を合わせて米国10年長期金利のラインが黄色で表示されています。

2019-2023年初にかけて、長期金利は先物市場を下回っています。これはつまり「保管コストが正=投資家は需要の方が大きいと期待していた」と考えられないでしょうか。つまりこの紫と黄色の差が、保管コストスプレッドなのです。

一方で、先物価格の伸び<長期金利の伸びとなっている期間が、逆に「保管コストが負=投資家は現物保有したくなく売りたい」と考えられるでしょう。

こうした投資家期待の推移をヒストリカルに見ることで、トレンド分析につながり、今後の現物価格動向に役立てることが出来ます。

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