今回は、線形回帰チャネルと出来高SMAを併用したチャート分析方法について紹介します。
今回記事は、以下の方に向けて書いています。
※なお、使用に当たっては必ず各自のトレード環境で事前検証頂きますようお願い致します。
線形回帰チャネルx出来高SMA分析のコンセプト
線形回帰チャネルx出来高SMA分析のコンセプトは以下の通りです。
- 出来高SMA分析により、出来高の急増箇所を把握する
- 出来高の急増箇所は重要な価格帯(=水平線)を示している*1
- ただし出来高分析のみではその後どうトレンドが展開するかつかめない
- 線形回帰チャネルにより、現在のトレンドの値幅、傾きを把握する
- 線形回帰チャネルは指定した間の期間について、トレンドを正確に示している*2
- ただし線形回帰チャネルをどの期間にかけて描画するかは別で判断しなくてはならない
- 出来高SMAと線形回帰チャネルを組み合わせ、重要水平線をもとに今後トレンドを予測する
- 重要水平線を2点つなげば平行チャネルが描画出来る
*1 出来高SMA分析の意味について、以下記事で紹介しています。
*2 線形回帰チャネルの引き方について、以下記事で紹介しています。
線形回帰チャネルのチャート描画手順

本分析コンセプトをもとに、実際のチャート上で3例線形回帰チャネルを描画してみたものが上図になります。
画面下部出来高SMAインジケーターをもとに、出来高が急増した後通常に戻る点(黄色➡グレーに戻るポイント)同士をつなぎ合わせ「期間①」「期間②」「期間③」を描画しています。
そして、それぞれの期間をむすぶ形で線形回帰チャネルを描画しています。
少し見づらいですが、各チャネルの価格系列相関について、「期間①」は0.63、「期間②」は0.55、「期間③」は0.38となっています。
例えば上図は、線形回帰チャネルを当てはめるまでは一つの上昇トレンドにしか見えないですが、3つの期間に分類してみることで、異なる角度の上昇チャネル3つに分かれていると分析することが出来ます。
線形回帰チャネル分析のトレードへの応用
分析手法を実際にトレードにどう応用するかについて、本記事では以下参考例まで提示します。
おおまかな手順、ルールは以下の通りです。
- ある期間中の線形回帰チャネルの相関を確認する
- 例えば、相関0.5以上であればトレードを検討するなど基準を設ける
- 相関が0に近い場合、価格はヨコヨコでトレードする意味がないと考える
- 1.で十分に相関がある場合、線形回帰チャネルを延長した「延長平行チャネル」を描画する
- 延長平行チャネルの下辺に近づけば買い、上辺に近づけば売り等通常の平行チャネルトレードを行う。
具体例①トレードする場合

上図の期間①について、価格相関が0.63と十分に高いのでトレードしてみましょう。
黄色の延長平行チャネルを引き、十分下辺に近づいたあたりで、下辺ストップロスとしてエントリー、上辺に十分に近づいたところで手仕舞いとします。(リスクリワード4.7)
強い価格相関が継続すれば、上図のようにチャネルの下辺から上辺までを狙い撃ち出来ますね。
具体例②トレードしない場合(参考)

上図の期間③については、価格相関が0.38と低いのでトレードはしないことが望ましいでしょう。
その後の展開について、参考として確認してみます。
線形回帰チャネル形成時点で既にチャネルを価格がはみ出していましたが、その後急にチャネル内に戻り、急上昇して延長平行チャネルを突き抜けて上に行ってしまいました。
重要なのは「結局上がったじゃないか」と考えることではなく、「想定した延長平行チャネルと関係のない動きをしている」と考えることです。
想定した延長平行チャネルと関係のない動きをされた時点で、平行チャネルを引く意味はなくなるのでやはりトレードしない選択が正解でしょう。
参考:本分析の注意点
最後に、参考まで本分析の注意点を挙げます。
本分析は出来高SMAをもとに分析をしているため、実体の通貨需要の影響を出来るだけ受けない短い時間足での適用(日足以下)が望ましいでしょう。(上図はいずれも1時間足での分析です。)
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