今回は、LNG価格と電気料金の関係について、簡単な試算をしてみます。
なお、一般消費者の皆様へ電気が届くところまでを試算に含めると系統料金等含まれ試算が複雑になるため、ここでは以下仮定するLNG火力発電所での電力料金(円/kWh)とします。
- 仮定
- LNGを専焼する火力発電所とする。
- 発電効率は、60%とする。
- 燃料コストは、電気料金の70%を占めるものとする。(残りの30%は発電所自体のOPEX、CAPEX)
一般的にLNGはUSD/mmbtu(百万英国発熱量単位)で計算されます。
ここでは、1USD/mmbtu値上がりした場合の電力料金を試算します。(/mmbtuにして、4割近い値上がりなのでインパクトは相当ですが…)
なお、参考に、1tonあたりのLNGがmmbtuあたりいくらになるのかも求めてみましょう。これには、LNGの熱量をガス換算係数で換算する必要があります。一般的に、LNGの熱量は約53.3 mmbtu/tonであり、1 tonのLNGには約53.3 mmbtuの熱量が含まれます。
LNG~電力料金の計算過程
① LNG = 1USD/mmbtu値上がりするとusd/gjあたりいくら値上がりするか。
1 mmbtuは約1.055 GJに相当します。
つまり、1USD/mmbtu、LNGが値上がりするのは、約1.055 USD/GJの値上がりに相当します。
② 発電所 = ①で示したUSD/GJ分LNGが値上がりすると、USD/kWh分値上がりに相当するか。(稼働率90%とする)
次に、発電所の燃料費において、LNGが1USD/mmbtu値上がりした場合の影響を試算します。
1 GJあたりのLNGコストが1.055 USD上昇した場合、1GJ=277.77kwhです。
また、発電効率は60%です。これは同じ1kwh作るのに、燃料がより多く(÷60%)必要ということです。
計算すると、1 kWhあたりのLNGコストは0.0063USD上昇することを意味します。
したがって、発電所の燃料費において、LNGが1USD/mmbtu値上がりした場合、1 kWhあたりのLNGコストは0.0063USD/kWh上昇します。
③ 電力料金 = 電力料金は燃料費の70%、電力料金は、いくら(円/kwh)値上がりするか。
最後に、電力料金の値上がり幅を試算することができます。仮定として、電力料金の燃料費に占める割合が70%であるとします。また、1USD = 135円であるとします。
先ほどの結果から、1 kWhあたりのLNGコストが0.0063 USD(約0.85円/kWh)上昇することを踏まえると、電気料金は1.22円/kwh上昇することがわかります。
もう一度まとめますと、1USD/mmbtu、LNGが値上がりすると、電気料金が1.22円/kWh値上がりするのです。
参考:LNG火力の効率
LNG火力発電の発電効率は、設備や条件によって異なりますが、一般的には高い効率を持ちます。平均的な発電効率は、56%程度です。ただし、近年では、新しい高効率ガスタービン技術の導入により、より高い発電効率を達成することが可能になっています。
なお、LNG火力発電は、燃料として天然ガスを使用するため、燃焼時に発生する二酸化炭素の排出量が比較的少なく、環境にやさしい発電方法として注目されています。
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