今回は、ドライバルク市況について整理しました。
ドライバルク(ばら積み)について
ドライバルク船(ばら積み船)とは、鉄鉱石や石炭、穀物、アルミ塊、銅鉱石等々…特に間仕切りを入れたり、整列して並べる必要がなく、バルク(ふくろ)にドカっと入れてしまえる貨物を輸送する船舶のことを指します。
バルク貨物は、おおまかにいって大量に輸送が必要であり、製品の原料となる類の貨物です。
産地国から需要国への輸送が必要であり、また大量で重量があることから航空輸送等海運以外の輸送方法が適しないことは想像に難くないでしょう。
ドライバルク市況について
ドライバルク船はある程度規格化されており、船のサイズに応じた用船市況が形成されています。
船のサイズは、大きいものから言ってケープサイズ、パナマックスサイズ、ハンディマックスサイズです。
本来貨物、航路(産地国ー需要国)、需給の組み合わせによって各航路の用船料が決定するのですが、上記引用元日本郵船様サイトでは、上記3船型それぞれの市況をおしなべて整理されています。
ドライバルク市況から何が分かるか

上図は、日本郵船様サイト掲載の~2022/8までのドライバルク市況です。
ドライバルクの用船市況は、生活、経済活動に関連の深い、鉄鋼、食品、電力セクターの需要を反映していると考えられます。
さらに言えば通関統計等の実際輸送された数量と異なり、市況ですから、「この先需要が活発化するから高くても船舶を確保したい」(またはその逆)といったマーケターの市況感が織り込まれていると考えられます。
他の資源等コモディティと違い、今後のコモディティ需要、景気動向の先読みといった要素が強く反映された市況であると言えます。輸送の実需要がない限り、用船市況は跳ね上がらないのです。
上図においても、2021年のコロナ禍からの立直りによって経済活動が活性化される見込みが反映されていますし、一方で2022年においては上昇した市況が一服していることが分かります。ロシア紛争以降跳ね上がった原油マーケットとは織り込まれている要素が違うことが分かりますね。
あくまで、鉄鋼、食品、電力といった身近なセクターが景気をけん引する、という前提に立てば、ドライバルク市況の動向を見て景気判断する、という手法も有効と考えられそうです。
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