今回の記事では、検証ツール等用いた損益シミュレーションの前段階である「パターン分析」について紹介します。
この記事は、
に向けて書いています。
パターン分析と検証ツール

まず初めに、今回記事で扱う「パターン分析」は統計学的手法というよりは筆者自己流の方法です。
何もないところから作り出したものではなく、一般的な検証ツール等で行う検証の課題点を解決すべく考えた方法になります。
紹介にあたり、まずは検証ツール等による検証の課題点について確認します。
検証ツール等検証の課題点
検証ツール等による検証の例として、以下のようなものを考えてみましょう。
- 検証市場:ドル円
- 検証時間足:日足
- 使用インジケーター:20,40SMA
- エントリー条件:20,40SMAのゴールデンクロス発生⇒次の足始値でエントリー
- クローズ条件:①20,40SMAのデッドクロス又は②エントリーから10pips利益又は③エントリーから10pips損失
非常にシンプルなエントリー、クローズ条件ですが、これだけでも既に「エントリー条件」「クローズ条件」「利確条件」「損切条件」とそれぞれ4つの設定条件が存在していることが分かります。
これら条件をもとに検証ツールにかけて出てくる結果と言えば、例えば…
- 勝率:60%(トレード100回、勝ち60回/負け40回)
- 獲得pips:300pips
- 総資産:USD10,500(+500)
- プロフィットファクター:1.2
というような項目です。(各数字は滅茶苦茶適当です。イメージのため数字を置いているだけ。)
初心者の陥りがちな誤りですが、これら結果を見て、「では、勝率等結果が良くなるようにインジケーターの数値をあれこれいじってみよう」と行動することは間違いです。
「検証ツール等による検証(及び検証結果)をもとに勝ちパターンを考える」ことの問題点はまとめると以下の通りです。
- 変数(エントリー条件、クローズ条件、利確条件、損切条件…)が多く、どれが勝率に影響しているか特定できない➡エントリー条件に係るインジケーター数値だけいじっても因果関係が薄い
- そもそもシミュレーション結果として利益が出た≠想定通りの勝ち方とも限らない➡ダマシ、急変動的値動きでたまたま利確した場合が少なからず利益としてカウントされている
本来、検証ツール等による検証とは、「既に具体的な手法が根拠をもってデザインされており」、「その手法を実際チャートに照らしてみた場合」の損益シミュレーションに他なりません。
損益シミュレーション結果と手法、パターンの優位性そのものの因果があると思ってはいけないことをを理解する必要があります。
では、手法、パターンの優位性そのものをどう見るのか(本題)について、以下「パターン分析」として紹介します。
パターン分析の方法

「パターン分析」を行うにあたり、必要なものは以下3点です。
- 定義された(解釈ブレのない)パターン
- パターン発生後のトレンド発生確認方法
- 期間設定と期間中データ量
まず、1.についてですが、要は検証するパターンを用意しましょう、ということです。
定量的に分析する以上、裁量の余地が入るパターンは非推奨です。(そもそも裁量の余地の大きいパターンは、再現性が乏しく分析には向かない)
例えばゴールデンクロスは設定期間さえいじらなければ完全に機械的に決まりますが、一方でエリオット波動などはブレのない定義を行わないと、そもそも毎回解釈がブレるので分析になりません。
とはいえ、大体のチャートパターンはTrading Viewでインジケーター化されています。定義に納得できるかはともかく、これらインジケーターを使えば分析可能です。
次に2.についてです。「パターン発生後、トレンドも発生するのが良いパターン」であると仮定して、パターン発生後のトレンドを確認する方法を用意します。
トレンド確認の方法もいくつかありますが、ここではパターン発生後一定期間の「価格相関係数」、「ボラティリティ」を調べる方法を取ることを前提とします。
パターン発生後に「価格が一方向へ伸びる傾向」を見せ、かつ「通常よりも値幅が大きくなる」場合、トレンドが発生しているわけで、その方向に向かって順張りすれば自然と勝率、利益は伸びますよね。
より具体的にはそれぞれ「線形回帰チャネル」、「Average True Range」を用いて比較をすることを推奨します。
最後に3.についてです。上記、1.2.について、1サンプルだけ検証すれば足りるかというと、当然そのようなことは無くある程度まとまったサンプル数収集が必要となります。
また、パターンが発生する都度サンプルとして集めると、一部期間にパターン発生が偏り分析結果が偏る恐れもあります。
そこでデータを採取する期間全体と、分割区間を設定する方法を提案します。
例えば、データの採取期間を「1年」とすると、1年は「52週」に分割出来ます。
各週でパターン発生しているか確認(この場合、パターン確認はより細かい時間足、例えば4時間、日足の中で行います。)し、発生していればサンプル1とします。
この例でいけば、最大52サンプルデータを集めることが出来、かつデータの特定期間への偏りを避けることが出来ますね。
パターン分析のまとめ
上記手順によって、ある程度まとまった量のサンプルを確保した後、最終的には、
- パターン発生後の価格系列相関の平均
- パターン発生後一定期間の値幅(TR)とその時点のATRの差の平均
を求めます。
こうして求められる平均について、例えば価格系列相関=0.9くらいの高い数値を表していたり、またはTRとATRの差が大きく正の値を取るなどしていれば、そのパターンはトレンドを生み出す良いパターンということになります。
今後本ブログでも本記事内容をもとに実際の検証例を挙げていこうと思います。
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