あなたはRSI(相対力指数)の計算式について、正しく理解していますか?
RSI(相対力指数)は、過去一定期間の値幅をもとに、「買われすぎ」「売られすぎ」という状態を数値化して表すインジケーターです。
代表的なインジケーターであり、誰もが一度はチャートに表示したことがあるかと思います。
しかし、実際の使われ方において「30以下だと売られすぎ」「70以上だと買われすぎ」と、特定の数値だけが注目されています。
今回は、改めてRSIの計算式を計算例も交えて確認しましょう。
RSIの計算式
RSIの計算式は以下の通りです。
- RSI = A ÷ (A+B) x 100
- A = 設定期間(通常は14期間が多い)中の値上がり幅
- B = 設定期間中の値下がり幅
「値上がり幅」は、「終値ー始値」が正(つまり陽線)となっているものの合計、
「値下がり幅」は、「終値ー始値」が負(つまり陰線)となっているものの合計です。
RSIの計算例
RSIの計算の流れを理解するためには、極端な価格推移パターンで計算してみると良いでしょう。
以下、いくつかの例をもとに説明します。(RSIの設定期間は14期間とします。)
①価格が満遍なく上昇下降するパターン

まずはオーソドックスな値上がり、値下がりを繰り返す中でのRSIの計算です。
上図中「終値ー始値」の結果だけを見ても、値上がり幅と値下がり幅のどちらが大きいのか一目で分かりません。
A =220、B = 170と集計し、RSI = 220÷(220+170) =56.41、と計算すると、なるほどこの期間は値上がり幅の方が若干だけど値下がり幅より大きかったのか、ということが一目でわかります。
②価格が14期間連続上昇(下降)するパターン

まずは、価格が14期間連続上昇増えたパターンのRSIを考えてみましょう。
計算するまでもなく14期間連続上昇のため、
「B(値下がり幅)=0」で「A(値上がり幅)>0」なのでA ÷(A+0)x100で100となります。
14期間連続下降は逆で、「A=0」で「B>0」なので、0÷(0+B)x100で0ですね。
また値を2の乗数倍に増やしてみました。しかし当然ですがRSIは上限100となります。
逆に言えば、ごくわずかの値上がりでも、14期間連続上昇すればRSIは上限100となります。
③価格が連続上昇(下降)するも、間に外れ値を含むパターン

最後に、価格が連続上昇するも、間に急激な価格変動を含んだ場合を考えてみましょう。
本ケースのA=160、B=80のため、RSI=160÷(160+80)=66.67となります。
「期間7」で発生した急激な価格下落(次の期間では戻ってくる)によって、Bが大きく加算されたことにより、傾向自体は明らかな買われすぎですが、RSIの値は低く抑えられていることがお分かりいただけるでしょうか。
RSIは設定期間中の値上がり幅、値下がり幅の合計だけを見ているため、このような外れ値(しかもその外れ値がいつ発生したか)の影響を全く排除出来ないのです。
まとめ
実際のRSI計算例を見ることで、あくまでRSIは、
- 期間中値上がり値下がりの合計値のみを機械的に計算した値
- 外れ値などの影響を排除できない値
であることが伝わりましたでしょうか。
「RSIが30以下(70以上)である」というのも「値上がり幅:値下がり幅(値下がり幅:値上がり幅)≒1:2以上差が開いている」というだけに過ぎず、しっかりと深堀された、確たる根拠のある数値というわけではないのです。
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