今回は、過去記事「パターン分析」の方法をもとに、
実際の「RSIダイバージェンス」パターンの優位性を分析してみます。
RSIダイバージェンスのパターン分析について
先の記事でもあげた通り、パターン分析には、
- パターンの定義
- トレンド発生確認方法の定義
- 情報収集期間の定義
といくつか定義が必要です。
パターン分析では、「パターン発生後にトレンドが発生しているか」をまとまった回数検証することでパターンの優位性を分析します。
RSIダイバージェンスの定義について
まず、ダイバージェンスの定義については、以下の通りです。
ダイバージェンスとは、価格が示す方向性と、オシレーターが示す方向性の動きが逆行する(乖離する)ことです。
RSIを逆張りに用いる場合のポイントや注意点について解説:OANDA JAPAN様
仕組みの解説等にあたっては、上記OANDA様ページが詳細であるためそちらを参照頂くとして、
今回検証にあたり具体的な「RSIダイバージェンス」発生ポイントを定義する必要があります。
上記の通り、ダイバージェンスは価格とオシレーターの値が逆行する状態のことを指しますが、そのような状態は連続して発生するため、別でポイントを定義しなければ検証に用いることが出来ません。
ここでは、RSIダイバージェンスの定義を以下の通りとします。
- RSIが70(30)を超える(この時のレートを比較用レートとする)
- RSIが60(40)内に戻ってくる(この時のレートをダイバージェンスレートとする)
- ダイバージェンスレートが比較用レートを超えている(70超過の時は上に、30超過の時は下に)
これらの条件を満たした場合、RSIが60(40)に戻って来た時点で「RSIダイバージェンス発生」とみなすこととします。
トレンド発生確認方法の定義について
こちらは前回通りです。
「線形回帰チャネル」でパターン発生後の価格系列相関係数を、
「True RangeーAverage True Range差」でパターン発生後ボラティリティ拡大の程度を確認します。
情報収集期間の設定について
今回も前回「ゴールデンクロス」パターン同様以下の通り設定して情報収集します。
- 情報収集期間:2021/1/1-2021/12/31
- データ収集区間:1週あたり1回(パターン発生時点)=1年間で最大52サンプル収集
- パターン発生時間足:4時間足(1週あたり30本)
今回、結果として16回の「RSIダイバージェンス」発生を確認できました。
RSIダイバージェンスのパターン分析結果
上記に基づきRSIダイバージェンスのパターン分析をしてみた結果は以下の通りです。
なお、相関係数については、「パターン発生した4時間足~翌週の終わり」
直後TR、ATRについては「翌週の始まり~翌週の終わり」でデータを取っています。
TRなどにつき、翌週1週感をベースにしてデータを取っているのは週足で価格比較するためです。(4時間足でトレンドが発生していれば、翌週くらいまでは続くだろう、という検証意図も含む)

結果をまとめた雑感としては以下の通りです。
- パターン発生後1週間を通してみれば、価格系列相関がマイナス(マイナス、というのは狙った方向と逆の方向に価格が進展した場合を指す。絶対値は変わらず正負のみ反転)となる結果が多い。これは、RSIダイバージェンス発生後暫くすると、価格は再度トレンド方向に向けて反転回帰するため(実際のチャート画像を後に掲載)
- 平均しておしなべてみた価格系列の相関係数は、-0.031。つまりRSIダイバージェンスが4時間足で発生したとしても、その後1週間の流れでトレンドは発生しないということ。
- また同様に直後TR-ATRの差はごくわずかで、RSIダイバージェンス発生したからといって、ボラティリティが拡大するわけではないということ。
RSIダイバージェンス発生をみてトレンド発生(原理上はトレンド転換)を期待できるかという今回検証の結論は「トレンド発生は期待出来ない」ということになりました。
参考:チャート画像で見るRSIダイバージェンス
今回検証で用いた16回分のチャート画像を、四半期に分け以下添付します。




RSIダイバージェンス自体の原理、つまり「トレンドが十分伸び切り、勢いが弱まるあたりを事前に察知する」仕組みは興味深いものです。
実際にRSIダイバージェンス後、勢いを失い、急反転した例も何度か見受けられます。
しかし今回検証の通り、RSIダイバージェンスにはそのままトレンドを反転させる、というほどの力は無く結局はトレンド回帰、またはヨコヨコ相場が始まってしまいます。
トレンド発生に沿った手法を使う場合、RSIダイバージェンスはエントリーの根拠とはなりえません。手仕舞い根拠として使うくらいかと考えられます。
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