今回は、出来高と水平線によるチャート分析は、長期的にポジション保有する可能性のある株式投資家にこそ有効である、ということについて説明します。
具体的な出来高と水平線を組み合わせた戦略については以下過去記事をご覧ください。
株式とは基本的にロングポジションである
出来高と水平線の話の前に、まず為替、FXと株式の違いを整理しましょう。
最大の違いは、為替は買いと売りすなわちロングとショートは表裏一体である一方、株式は基本的にロングポジションが正道であるということです。
どういうことでしょうか。具体的に説明しますと、
為替においては売買対象は例えばドル円であればドル⇔円となります。ドルのロングはそのまま円のショートです。ドル円において、ドルの上昇トレンドであれば、それはつまり円の下降トレンドなのです。
一方、株式における売買対象は、個別銘柄⇔円(日本株の場合)となります。個別銘柄取引における、為替自体の強弱の影響はごくわずか(円が強くなったので、日本株を売って円に戻す、というような行動をする人はほぼいない)です。
また、株式においては本来通常為替の金利以上に大きい企業の配当収入が期待されます(当然配当を期待して長期ロング保有する投資家も多いでしょう。)から、よりロングポジションに偏るのです。(逆に為替でいえば、ドル円のドル買いは、ドル金利を得て、円金利を手放している状態なので金利に関してはスワップというのが適切で、単純なロング状態ではありません。)
出来高の多いポイントに水平線を引く意味

出来高の多いポイントに水平線を引く意味は、先の記事でも触れた通りではありますが、実例を踏まえて改めて整理しましょう。
上記は、三菱商事(8058)の価格推移チャートです(トレーディングビュー由来)。
緩やかな上昇トレンドが形成されており、いくどか押し目をつけては再上昇しています。
注目してほしいのは、出来高が急増しているポイントです。(図中株オレンジ、黄色が出来高増ポイント)価格が下げて落ちそうなところで、出来高が急増、反転上昇という流れが見えるかと思います。
出来高が急増したから、価格が伸びたのではありません。出来高が増えたポイントでは、売買共にポジション量が急増したのです。価格が上がったのは結果論でしかなく、むしろこのポイントを割って価格が下がっていたら価格は急落していたのです。
前回の記事の要点はまさにここで、出来高が急増するポイントは重要な価格攻防ラインであるため注目が必要である➡水平線を描画するのに最適なポイントである、ということでした。
株式における水平線の意味
株式そのものの特徴に話を戻しましょう。
株式においては、ロングポジションが正道であると先に述べました。
これはつまり、一度上昇トレンドが終了し、反転すると価格が急落するということを意味しています。
例を挙げれば、バブル崩壊の際短期間で多大な利益を上げていたのはショートポジション勢であり、こうした株式市場の仕組みに恩恵を得ていたのです。
重要な攻防ラインを割ると価格が急落するということが分かっていれば、こうした攻防ラインを損切ラインに置くべき、と分かりますし、こうした押し目が発生する都度安心して株式のピラミッティングが出来るのです。
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