
今日の内容は、過去検証から得られる勝率のナンセンスさについてです。
某X(某twitter)を見ると、「過去検証をしっかり行いなさい」「反復して検証するほどデータは確かだから何度も検証して勝率を把握しなさい」という教えが実に盛んです。
Youtubeでも、一部のFX講師らしき方々が過去検証の必要性をさかんに説かれます。
しかし、はっきり言って、理論上からもヒストリカルデータの有効性は否定されていますし、過去検証から得た勝率を後生大事に抱えることはナンセンスと言って差し支えないのです。そんな話をしようと思います。
過去検証の効用:価格の変動に慌てふためかなくなる
勿論、上記過去検証を経て勝率を把握することの効用がないわけでもありませんし、教えを説く方々の中にはきちんとその効用を言われる方もいらっしゃいます。
その効用とは、「自分の手法を信じられるようになること」です。
慣れの少ない方にとっては、一度持ったポジションが含み益/含み損を出すことは大きなストレスに成り得ます。ポジションを持った結末、行く末を知らない限りは、感情に任せてポジションをクローズしてしまうのは当然の流れです。
こうした感情的反応に対しては、過去の実例を参照すれば、こうなっていたはずだ、という実証例をたくさん見て、その結果を実感しておくことが大きな意味を持つのです。
「きっと、この後、こう推移する(推移しない)ことも多くあったから、今は落ち着いて待とう」
そう思えることこそに、この過去検証の効用全てがあるといってよいでしょう。
ヒストリカルデータが役に立たない例え話
一方で、これははっきり言って喧嘩を売るような話ですが、検証ツールを持って数百回のトレードを検証し、数字だけ、勝率だけ把握するような検証行為には効用も、意味もないと考えています。
過去検証で得られた勝率を、ひとつ例え話にしてみましょう。
A君は、一枚のセーターをいつも着ています。彼に言わせれば、以下の点からこのセーターを着ているだけで彼はファッションの少なくとも平均より「勝ち組」になれるそうです。
・夏以外のオールシーズン対応であり、1年で3/4は季節柄にあった衣装として見られる
・セーターには、1990年代に大流行したアニメの柄が入っている
さて、この例を見て、A君がファッションのトレンドを平均より把握出来ている、つまりファッションの勝ち組と思う方はいますでしょうか。いませんよね?
ファッションにもまさしくトレンドというものが存在しますが、それを形作るのはその瞬間のユーザーたちです。
これはすなわち、置き換えてみると手法が「どういった時に使えることを想定している(汎用性があるか)」「過去いつ流行ったか」は、実際に今、これから発生したトレンドをフォローできるかどうかとは全く関係がない、ということを表しているのです。
「過去、このような手法が流行った」という情報すら、これから発生するトレンドを把握する上ではもはやノイズ情報なのです。1990年代に流行ったから、2020年代に流行る、という主張に違和感を感じるのは当然のことです。
トレンドを知りたいのであれば、サボるのをやめよ
従い、導かれる結論はキャッチ―でもなく、泥臭いものなのです。
すなわち、今後発生するトレンドを知りたいのであれば、過去流行った手法、勝率を崇拝するのではなく、足元の状況を知り、機を見て敏に対応することなのです。
こんなことを言うのは楽ではないし、面白くないから誰も某Xでいわないのだと思います。
しかし、結局はトレーダーは、マーケットに携わるのですから、読んで字のごとくマーケティング、つまりこれから買われるものを予測する、高値で買う人を見つける(逆も然り)、という仕事をすることが重要なのです。そこに情報の非対称性やそれに気づいた自分自身の優位性が生まれるのです。
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