トレードルールを守るのは大事、とよく言います。トレードルールの定義を明確化する、勝率を把握するなど守るための仕組みを作ることが大事とも。
で、これを聞いた皆さんは、必ず一度はこう思う(思った)はず。
「トレードルールを破ったとして勝てばいいんじゃないの?具体的に何が悪いの?」と。
何故トレードルールを破ってはいけないのか、に対する答えは簡単です。「トレードルールがすり替わって永遠に答えが出せなくなるから」、です。
どういう時にトレードルールを破るか
トレードルールを破って勝つことを考える前に、まず「そもそも何故今あるトレードルールを破るか」を考えてみましょう。例えばこんな時です。
- 完全に感覚(値ごろ感など)でエントリーしてしまう
- 手順を明確化しきれていない
- 例えば、SMAの反転を根拠にしたトレードで、「タッチしたら入る」「終値確定したら入る」などエントリー手順が定まっていない
- アレンジをしたくなる
- 例えば、SMAの反転を根拠にしたトレードに、併せてRSIの判断基準を取り入れようと思いつく
1番については善し悪しを論じるまでもない、というかトレードルール以前のポジポジ病という別の症状なので今回は考えません。
問題は2番、3番です。何が問題か?
完全な(と自分が信じる)トレードルールを持っていない限り、この2番、3番は起こって当然であり、また3番についてこれ自体は問題に気づき対策を取り入れる、いわゆるPDCAを回すという意味では良いことのように思われるのが問題です。
ただ、それを実戦の場で、それも思い付きでやってはいけないのです。
トレードルールを破って勝つと何が起こるか
「明確化出来ていない手順をその場で定義」または「手法のアレンジ」を実戦の場で実行し、結果勝ったとしましょう。
その時何が起こるか。「トレードルールのすり替わり」です。
統計的に全く有意でないたった一度の勝ちですが、しかしほぼ10割の人が利益を得られた高揚感から、今回のアレンジ等は正しかったのだと錯覚します。
そしてすり替わったトレードルールをもとに、
- 一から検証をし直す あるいは、
- 再度実戦投入し、気に入らないことがあればまたトレードルールをすり替える
ことになるでしょう。いずれにしても「同じところをグルグル回り、時間だけを浪費する」不幸な結果になることは間違いありません。
そもそも実戦の場には裁量など不要
「トレードルールは守らなければならない」、というよりかは、
「実戦の場で機械的に運用できないトレードルールは使ってはいけない」が正解なのでしょう。
トレードルールを確立するまでのフローについて、以下の通り図にしてみました。

ともかく「その場での思い付き+その結果勝ってしまう」ことが発生しないような順番で手法を考えることが大事です。
発想、理屈付けの後には必ず検証が来るべきで、実戦の場はただ作ったルールを機械的に投入するだけの場と切り分けることが大事でしょう。
アレンジの都度、100回検証しろとは言いませんが、10回分、20回分とまとまった回数眺めるとアレンジの結果も善し悪しがあることが分かり、過信することもなくなってくるでしょう。
前に書いた記事
そういえば、前にもトレードルールについて書いていました。
こちらは全般的な話ですが、良ければ。
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