今回は、「トレードルール」についての記事です。
トレードルールというと、初心者の方はもちろん、そこそこの年数トレードを続けた方でも明確に定義することが難しいものです。
何故かというと端的に言えば「トレードルールに限らずトレードに向き合う中で生じるあらゆる要素」について「認識し、ルールを定める又は定めない」を決めないといけないからだと私は考えています。
具体例をもとに考えましょう。以下のような兼業トレーダーAさんがいるとします。
Aさんはこんな人です。
- 兼業トレーダー。分析・トレードは家にいる時間のみでしかしない。
- 扱う金融商品はFXのみ。さらにはドル円のみに絞ってトレードしている。
- 一度のトレードでさらすリスクは資金全体の1%までとしている。
- 1時間足を使ってトレードしている。
- 移動平均線のゴールデンクロス、デッドクロスのみを使ってトレードしている。
そんなAさんですが、ある日以下のような流れでトレードルールを破ってしまいます。
- 会社の休み時間中にスマホでSNSを見ていたところで「ビットコインの日足移動平均線がゴールデンクロスした⇒買のチャンス」という書き込みを見る。
- 書き込みの内容に従って、ビットコインを買った。書き込みには合わせて「絶好のチャンスだから大きくリスクを取るべき」と書いていたため、資金全体の5%までリスクを取った。
さて、Aさんは結果として「ゴールデンクロスでエントリーする」というトレードルールは守ったのですが、ここまでお読みいただけば何となく分かるように、自分で(無意識かもしれませんが)設定していた「トレードルール」を大きく逸脱したトレードを行ってしまいました。
「何となく間違ったことをしているのは分かるが、具体的に何のルールを逸脱したか分からない」でしょうか。そういう方の疑問に答えるために、以下「要素の認識」と「具体的なルールの決め方」について私見を述べようと思います。
トレードルールに関わる要素の認識
さて、引き続きAさんの事例をもとにどのようなものをルールとして言語化して認識する必要があったかを考えていきましょう。
ありふれたフレームワーク「5W1H」で考えればある程度この話はスッキリ整理できそうです。
Aさんの事例では要するに、以下のようなことが起こっていました。
- WHO(誰が)…自分で判断していたトレードを他人の意見に従って行った。
- WHEN(いつ)…家にいる時間(大体夜か早朝、時間が限定されている)に行っていたトレードを会社にいる時間に行った。
- WHERE(どこで)…家で行っていたトレードを会社で行った。
- WHAT(なにを)…本来FX、しかもドル円で行っていたトレードをビットコインで行った。
- WHY(なぜ)…「ゴールデンクロスしたから」ではなく「人から推奨されたから」トレードした。
- HOW(どのように)…ゴールデンクロスを根拠にトレードした。(⇒トレードルールは守った)
長くなりすぎてしまうので主だった内容を記載しましたが、これ以外にも「リスク量」や「トレードに使う端末」など、上記の分類にあてはめて確認出来ることは多いです。
Aさんは、「HOW」の中の「トレードルールを守る」というところだけしかルールとして認識していなかったわけですね。これはさすがに露骨な例ですが、読者の皆様のトレードを振り返って頂くと、いくつかの分類についてはヒヤリとすることも多いのではないかと思います。
具体的なトレードルールの決め方
上記のような分類に従って、トレードに関わる要素を認識してもその先には自分でルールを取捨選択する段階が待っています。何から何までルールで縛っていては、トレードの機会も減ってしまいますし何よりルールを全て覚えるのが大変です。
私からの提案としては、以下のような要素をもとにトレードルールを決めることをお勧めします。
- 自分のライフスタイルを参照して、再現性を高められるルールを設定する。
- 自分が感情的にならない(=感情のブレが入らず再現性が高くなる)程度にルールを設定する。
ライフスタイルをもとに、というのは例えば「毎日この時間なら、変化の少ない自分の部屋で、いつも使っているPCを使い、いつも見ているチャートアプリを使ってトレード判断が出来る」という風にルールを考えるということです。毎日同じ条件が再現出来るときにやる、というだけですので、スイングトレードをやれ、というわけでもスキャルピングをやってはいけない、というわけでもないです。
感情的にならない、というのは例えば「勝ってもそんなに嬉しくなく、負けてもそんなに悔しくないリスク量を設定する」とか、「SNSで自分と反対意見を見て取り乱さないようにする(=エントリー中はSNSを見ない?色々やり方はありそうです)」といった風にルールを考えることです。
とにかく、継続を第一に考えることがトレードをする上では非常に重要です。その中で再現性の低くなるルールを設定することは本末転倒になります。
まとめ
本日述べたかったことは、ルールを決めるためには、
①要素を認識する⇒②ルールとして決めるか決めないか考える
という手順を踏むことが重要であるということでした。
勿論、最初から完璧なルールが出来るわけでもなく、この先には③ルールをやめる、やめないを決めるという次の段階があります。
気の長い作業になりますが、だからこそこの考え方を身に着けられればより精度の高いトレードが出来るはずです。まずは、トレードに関わる要素の書き出しから始めてみてはいかがでしょうか。
ではまた。
コメント