今回は、出来高を用いた水平線の重要性認識及びそれに基づくトレード方法について紹介します。
今回記事は、以下の方に向けて書いています。
「コンセプト」、「具体的なトレード方法」の順に沿って紹介しますので、具体的なところから見たい方は「具体的なトレード方法」からご覧下さい。
※なお、使用に当たっては必ず各自のトレード環境で事前検証頂きますようお願い致します。
出来高x水平線トレードのコンセプト

水平線について
水平線の引き方及び優先順位の付け方については、過去記事でご紹介しました。
水平線は引くだけでは駄目で、「今、どの(上下どちらの)水平線が強いだろう?」ということまで考えなければ意味がありません。
過去記事は、単なる価格データ及び時系列から水平線を読み解くにあたっては「意識されるほど新しいものか」「攻防の中で既に突破されていないか」「注目される始値終値か」を読み取る必要があるとして、それらが自動で引けるインジケーター「Support Resistance – Aging」をご紹介しました。
出来高について
出来高が示す意味については、以下過去記事にて紹介しました。
出来高は、「価格の方向性そのもの」や「ボラティリティの大小」と関係のあるものではなく、「市場が注目しているポイントで増え、そうでないポイントで減るのではないか」という仮説を紹介しました。
市場が注目しているポイントとは、売りと考える人と、買いと考える人の意見が両方ある均衡点のことです。「価格は上がる」と思う人と「価格は下がる」と思う人が双方エントリーしてくるからこそ、売買は通常以上に成立し出来高が増えるわけです。
水平線x出来高のシナジー

ここまで読んで頂く中で、水平線と出来高の表すものが「市場の重要な均衡点」であるということ、水平線と出来高を組み合わせて考えるとシナジーがありそうなことについて、なんとなくイメージして頂けたのではないでしょうか。
ここで伝説のトレーダーの考え方を紹介しましょう。
ジェシーリバモアの自叙伝的本「欲望と幻想の市場」においては、以下のようにあります。
株価は、最弱抵抗線に沿って進む。
欲望と幻想の市場―伝説の投機王リバモア
抵抗線=水平線というのは現在より高値にも安値にも無数に存在するのですが、その中で最弱の抵抗線を突き抜け、一方でより強い抵抗線には跳ね返されてというのを繰り返しながら株価は進んでいく、という意味です。まるでピンボールのようなものですね。
この考え方を一部拝借・解釈してまとめると、「出来高を伴う水平線は弱い」。そして、「弱い水平線に沿って価格は進む」(注釈)。
つまり(何度か反発するとしても)「弱い水平線はいつかブレイクし、その方向に価格は進んでいく」と言えるため、これを狙ってトレードしようというのが戦略のコンセプトになります。
注釈
「出来高を伴う水平線が弱い」について以下の2点の理由からそのように考えます。
- 出来高を伴う=水平線にポジションが集まるということであり、ブレイク時の伸びが大きくなる➡狙われやすくなるという意味で弱い
- 既に一度しっかり揉まれたラインで、(瞬間的についた高値安値と比べて)再度試される可能性が高いという意味で弱い
具体的な出来高x水平線トレード
以下では具体的なトレード例紹介にあたり、まず「インジケーター例」を確認したうえで、チャートを参照しながら戦略を説明します。
使用インジケーター例

水平線、出来高を組み合わせた分析をする上で、以下2つのインジケーターをセットします。
水平線については既に述べた通りですが、出来高については、出来高と出来高SMA(単純移動平均)を組み合わせたインジケーターを使用します。
平均値を大きく上回る出来高足については、黄色、オレンジでハイライトされる優れものです。
これらを組み合わせて行うことを大まかに説明すると、以下の通りです。
- 「Extreme Volume」でハイライトされた箇所(=出来高が急増した箇所)を見つける
- 上記箇所近くで、「Support Resistance – Aging」で引かれる水平線をチェックする
- 特に何度か揉まれた水平線(弱い水平線)を見つける
出来高x水平線トレード実例
本戦略は、具体的に時間足、ロット等詳細設定する類のものではない(単純にエントリーすべき重要ポイントの示唆のみ)ため、チャートをもとに実例で紹介します。
以下チャートはいずれもTrading View由来、ドル円1時間足の実チャートです。

実例①(ブレイク発生ケース)について、上図を参照下さい。
図中コメントの通り、高値側の水平線が出来高を伴って何度か揉まれていたのですが、ブレイク後その方向に価格が急伸しています。
まさしく「最弱抵抗線に沿って進む」です。この水平線ブレイク後にエントリーすることで、トレンドの初動を的確にとらえることが出来るでしょう。

続いて実例②(上下に山あり谷ありケース)です。トレンド発生前の分かりやすいパターンだけ見るのもインチキのようなので、難しいチャートの場合も例として引きました。
本チャートにおいては、説明上前半と後半に分けています。(紫の垂直線左右)
前半左側について、形としては安定していませんが実例①同様、安値側に出来高を伴った水平線が形成され、その後の突発的な値動きは水平線ブレイク方向に伸びていますね。
後半右側については、ごく短期的なトレンド、反トレンドの動き(全体としてはレンジ的な動き)が見られる中で水平線ブレイクする形です。
ポイントは水平線ブレイク後、一度戻りをつけた後再度進行方向に向かって価格が伸びている点です。
このような不安定な相場においては、弱い水平線ブレイク以外のポイントでトレードしないことは勿論のこと、弱い水平線ブレイクにおいても安易にポジションを重ねて持ったりしないことが重要です。
本戦略は、水平線をブレイクアウトした後の急伸を取ることが目的ですから、エントリー後思うように価格が伸びない、戻って来たという場合には損失拡大前に一度クローズし、再度ブレイクアウトにエントリーしなおすといった工夫も有効でしょう。
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